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東日本大震災から学ぶ-かけがえのない生命を守るために-

11月16日に山梨学院大学シンポジウム「東日本大震災から学ぶ-かけがえのない生命を守るために-」が行われました。

会場

NPO法人河口湖自然楽校校長である清水国明さんや、ジャーナリストである鳥越俊太郎さん、元横浜市消防訓練センター体育訓練担当課長である本田大三郎さん、山梨学院大学専任講師である青山貴子さんらを招いて行われた今回のシンポジウムですが、やはり震災の記憶は色濃いのか、学生のみならず近所の方など多くの人が足運んで話の内容に聞き入っていました。
震災の話と言うと、ネガティブになりがちですが、清水さんの軽快な語り口と時々洩れる笑いによって、会場は終始和やかな様子で進行していきました。

被災地の方への心のケア

清水国明公演
清水国明さんは、被災した人に対する物資的な支援だけではなく、心のケアもその活動の中で行っています。
河口湖自然楽校で行った、キャンプ場に招いた被災者達との経験談では、清水さんは自分に何かできることはないかと考え、「子供達を招いて元気にする」ということが、自分にとって自信を持ってできることだと思いついたそうです。
しかしいざ、そういうことを行うから来て欲しい、といっても誰も来てくれない。なぜなら足(車)がないから。そこで、チームを作って観光バスで迎えに行き、行くついでに、支援物資も乗せて行ったそうです。
そうして行われた「生きるチカラキッズキャンプ」では、子供達にテントで過ごしてもらい、魚を‘貰う’のではなく’釣り方‘を学び、火のおこし方を学ぶそうです。こうした中から、自然の中で体を鍛えることで、「なにくそ!」という心を育て、自立の養成と共に、生きる力が育まれるのです。
そんな活動をしつつ、被災地では被災者の声を受け、500人分の「ステーキの炊き出し」を行ったりもしました。
これらの活動は、喜んではもらえたが根本的な解決とはならず、2~3ヶ月すると、必要なものの声は「金」や「仕事」になっていったそうです。
そこで、「ハッピードリームパーク」という主に子供達が遊ぶ場、いわゆる託児所としてボランティアの人たちが子供達を預かってくれる施設を作りました。

避難生活は生気が尽きるそうです。プライバシーはなくみんなで共同生活の雑魚寝。しかもその生活が7ヶ月も続いている。この状態は、海外から見ると、これはありえないことで、被災地に被災者をずっと押し込めておくのは日本だけだそうです。海外では、すぐにキャンピングカーやトレーラーハウスをこぞって向かわせ、個人のプライベートを確立するのです。
なぜ日本にはキャンピングカーが導入されないのでしょうか?劣悪な環境で生活し続けなければならないのでしょうか?それは、日本ではキャンピングカーに対して規制があるからです。劣悪な環境で生活し続けなければならなくなったのは人災なのです。
清水さんのNPOでは、それに対する対抗手段を考え、自分達でキャンピングカーを購入するにいたりました。トレーラーハウスを自分達で手配し、一口3万円で、もし被災したときに優先的にそのトレーラーハウス・キャンプ場を使う権利、疎開先を確保できるシステムを確立しました。
こうした活動を通して、キャンピングカーの有用性を伝え、キャンピングカーをもっと世の中に浸透させていきたいと語りました。

3.11東日本大震災から学ぶ「その時どう動くか」
今回の大震災で、今までのマニュアルがいかに役に立たないかということが分かりました。しかし、のどもと過ぎれば何とやら、未だに今までと同じマニュアルが利用されています。
どう動けば、正しい避難といえるのでしょうか。

(1)脱出→自分の体と命を守る
迷わず移動する。火を消している暇があったら逃げる。体は見たところへ動く。「必ず逃げ道はあるんだ」と思うことが大切。パニックになったら大声を出す。(リラックスできる)
(2)救助→被災した人と、自分達で助かる(セルフシステム)
自衛隊を待たず、自分達で救助するという覚悟を共有する。声を出し仲間を集め、耳をそばだて完全無音の状態を作る。(救助者の声を聞く)
(3)生存→延命の工夫
サバイバルには保温が大切、36,5℃を保つ、食べて・飲んで・着て・寝る
(4)復興→広く長い支援のシステム
プロボランティアの育成・組織、支援者・被災者のわくわくするような支援計画

これらのような要素を盛り込んだ、新しい避難マニュアルを、学生達と作っていきたい。そう清水さんは語りました。

鳥越俊太郎さんと清水国明さんのトーク対談

トーク対談
こちらは主に、原発と放射能についての話しで進行していきました。
メディアの報道は事実ではあるが真実ではないという鳥越さん。テレビに映っている映像・報道は間違いなく事実ではあるが、事実の一面に過ぎず、クローズアップされがちな復興の進む一面の一方、まだまだ被災者があふれ、復興の目処の立たない場所もあるということを忘れてはいけません。メディアとというものは欠陥品であり、その欠陥とは人がやっていること、時間との競争であるため、不十分な取材などです。日本のメディアはどれも似たような報道しかせず、そのため踊らされやすいが、メディアの一面のみをすぐに丸ごと信じて影響されず、検証期間を持つことが真実を知るためには大切なのだと語りました。

短い時間でしたが、多くのことを学べたシンポジウムでした。テレビなどでもあまり報道されなくなり、気が緩んできた今こそもう一度この大震災について考え直すときなのではないでしょうか。こうした取り組みを積み重ね、多くの人が協賛していくことで、「もしも」のときこそ力となりえるのでしょう。

詳細は、USTREAMをご覧ください。
USTREAM ≫ 東日本大震災から学ぶ

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